共有持ち分の不動産は売れない?
📝 不動産知識 / 共有持分の売却ガイド
共有持分の不動産は売れないのか?——解決方法を徹底解説【2026年版】
相続・離婚・共有トラブルの出口戦略
この記事の目次
- 共有名義とは何か——基本的な仕組み
- 共有名義になりやすいケースと問題点
- 共有不動産の売却方法——5つの選択肢
- 共有持分だけを売ることはできるか
- 共有物分割請求——合意がなくても解決できる法的手段
- 共有者が行方不明・連絡が取れない場合
- 共有不動産の売却でよくある疑問Q&A
- まとめ・無料相談のご案内
01共有名義とは何か——基本的な仕組み
共有名義とは、一つの不動産を複数の人が「持分」という割合で所有している状態のことです。例えば兄弟2人が実家を1/2ずつ相続した場合、その不動産は「共有名義・各自1/2の持分」となります。
共有持分の基本ルール
- 単独での売却は原則できない:共有不動産全体を売却するには共有者全員の同意が必要。一人でも反対すると売却できない
- 自分の持分だけは自由に売却できる:共有者の同意なく自分の持分だけを第三者に売却することは法律上可能。ただし実際には買主が見つかりにくい
- 使用・収益には過半数の同意が必要:共有不動産を賃貸に出すなど「管理行為」は持分の過半数の合意が必要
- 固定資産税は連帯して納付する義務がある:共有者全員が固定資産税を連帯して支払う義務を負う
💡 共有持分の割合が大きくても「単独で売れない」
持分が2/3あっても1/3の共有者が反対すれば不動産全体を売却することはできません。共有不動産の売却には持分割合に関係なく共有者全員の同意が必要です。これが共有名義の不動産を「売りにくい」と感じる最大の理由です。
02共有名義になりやすいケースと問題点
共有名義の不動産が生じやすいのは主に以下のケースです。
共有名義になりやすいケース
- 相続:親が亡くなり複数の子どもが遺産分割せずに共有相続した場合。「とりあえず共有にしておく」という選択が後のトラブルの種になることが多い
- 夫婦での共同購入:住宅を夫婦で資金を出し合って購入し、出資割合に応じて共有名義にした場合。離婚後も共有のまま残るケースが多い
- 相続の連鎖:共有状態のまま放置していると、共有者が亡くなるたびにその子どもたちが共有者に加わり、共有者が増え続ける問題がある
- 購入時の資金提供:親が一部資金を出した住宅を子どもが購入した場合など
共有名義が引き起こす主な問題
- 売却・賃貸・リフォームのたびに全員(または過半数)の合意が必要で意思決定が難しい
- 共有者の一人が反対するだけで売却・活用が完全にストップする
- 離婚後も元配偶者と不動産を共有し続けなければならない
- 共有者が亡くなると持分がその相続人に分散し、共有者がどんどん増えて複雑化する
- 固定資産税の負担・管理費の分担で揉めることがある
- 共有者が行方不明・連絡が取れなくなると手続きが進まなくなる
⚠️ 共有状態は早めに解消することが原則
共有状態は放置するほど共有者が増え・関係が複雑化し・解決が難しくなるという特性があります。「今すぐ売るつもりはない」としても、共有状態の解消方法を早めに話し合っておくことが将来のトラブルを防ぎます。
03共有不動産の売却方法——5つの選択肢
共有名義の不動産を売却・解消するための主な方法を5つ整理します。状況・共有者の関係・優先事項によって最適な方法が異なります。
共有者全員の合意で不動産全体を売却
最も理想的な解決方法。共有者全員が売却に同意し、不動産全体を市場で売却します。売却代金を持分割合に応じて分配します。共有者間で話し合いができる関係であればこの方法を最初に検討しましょう。
✅ メリット:市場価格での売却が可能・最もシンプルで手残りが多い
⚠ 条件:共有者全員の同意が必要
他の共有者に自分の持分を買い取ってもらう
自分の持分を他の共有者に売却する方法。不動産全体の売却には合意できなくても、自分の持分だけを他の共有者に買い取ってもらえれば共有関係から抜け出せます。買取価格の交渉が必要ですが、第三者に売るより高値になることがあります。
✅ メリット:共有関係から離脱できる・他の共有者も単独所有になりやすい
⚠ 条件:他の共有者が買い取る意思・資力があること
他の共有者の持分を自分が買い取る
逆に自分が他の共有者の持分を買い取り、単独所有になる方法。不動産を手放したい共有者の持分を購入することで単独所有となり、その後自由に売却・活用できます。資金が必要ですが、単独所有になれば選択肢が広がります。
✅ メリット:単独所有になれば自由に売却・活用できる
⚠ 条件:他の共有者の持分を買い取る資金が必要
自分の持分だけを第三者(買取業者)に売却
他の共有者の同意なく自分の持分のみを第三者(共有持分専門の買取業者)に売却する方法。法律上は可能ですが、価格は持分割合で計算した市場価格より大幅に低くなります(市場価格の30〜60%程度が目安)。他の共有者との関係悪化につながる可能性もあります。
✅ メリット:他の共有者の同意なく単独で共有から離脱できる
⚠ 注意:価格が大幅に低くなる・他の共有者との関係に影響することがある
共有物分割請求訴訟(裁判)
話し合いで解決できない場合の最終手段。裁判所に「共有物分割」を請求することで、裁判所が分割方法を決定します。現物分割(土地を物理的に分ける)・代償分割(一方が買い取る)・換価分割(競売で売却して代金を分ける)の方法があります。
✅ メリット:話し合いが不可能でも強制的に解決できる
⚠ 注意:時間・費用・精神的負担がかかる。弁護士への依頼が必要
04共有持分だけを売ることはできるか
「他の共有者が反対しているが、自分の持分だけを売ることはできるか?」という質問は非常に多いです。答えは「法律上は可能」ですが、実際には様々な課題があります。
持分のみ売却が可能な理由
民法では「各共有者は、その持分を自由に処分することができる」と規定されています(民法206条・249条)。つまり他の共有者の同意なく自分の持分を第三者に売ることは法律上の権利です。
持分のみ売却の課題
- 価格が大幅に下がる:持分だけを購入しても不動産全体を自由に使えないため、買主は少ない。通常は持分割合で計算した市場価格の30〜60%程度が目安
- 一般の買主はほぼいない:持分だけを購入する一般購入者はほとんどおらず、共有持分専門の買取業者が主な売却先となる
- 他の共有者との関係が悪化することがある:見知らぬ業者が共有者に加わることで他の共有者が不快に感じることがある
- 他の共有者に優先購入権はない:法律上、他の共有者に優先的に買い取る権利(先買権)はないため、同意なく売却できる
📌 持分売却より「共有者との交渉」を先に試みる
持分だけを売ることは最終手段として有効ですが、価格が大幅に低くなります。「持分を第三者に売る前に、まず他の共有者に同じ価格で買い取りを提案する」ことで、交渉が進むケースがあります。「このまま反対し続けると見知らぬ業者が共有者になる可能性がある」という状況を伝えることで、話し合いが進展することがあります。
05共有物分割請求——合意がなくても解決できる法的手段
話し合いで解決できない場合の最終手段が「共有物分割請求訴訟」です。裁判所に分割を請求することで、合意がなくても強制的に共有状態を解消できます。
共有物分割の3つの方法
| 分割方法 | 内容 | 適しているケース |
|---|---|---|
| 現物分割 | 土地を物理的に分けて各自が単独所有にする | 広い土地で物理的に分けられる場合 |
| 代償分割 | 一方の共有者が他の共有者の持分を買い取り、金銭で補償する | 一方が不動産を所有し続けたい場合 |
| 換価分割(競売分割) | 裁判所の命令で競売にかけ、代金を持分割合で分ける | 話し合いが全くできない・他の方法が不可能な場合 |
⚠️ 換価分割(競売)は市場価格より低くなる
共有物分割請求で裁判所が「換価分割(競売)」を命じた場合、競売による売却となるため市場価格より低い価格での売却になります。できれば話し合いによる解決・不動産会社を通じた任意売却の方が手残りが多くなります。訴訟の前に専門家を交えた交渉を試みることをおすすめします。
共有物分割請求の手続き
まず裁判所への調停申立て(共有物分割調停)から始まります。調停で合意できない場合に訴訟に移行します。手続きには弁護士への依頼が必要で、時間(数ヶ月〜数年)と費用がかかります。ただし最終的には合意がなくても強制的に解決できるという大きなメリットがあります。
06共有者が行方不明・連絡が取れない場合
共有者の一人と連絡が取れない・行方が分からない場合でも、法律上の手続きを利用して問題を解決できる場合があります。
不在者財産管理人の選任
行方不明の共有者がいる場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申立てることができます。裁判所が選任した管理人(弁護士・司法書士など)が行方不明者に代わって財産管理・売却の同意を行うことができます。
失踪宣告
7年以上行方不明の場合(または危難失踪の場合は1年)、「失踪宣告」の申立てができます。失踪宣告が認められると、その人が死亡したものとみなされ、相続手続きを経て持分の帰属が決まります。その後は相続人との交渉が可能になります。
💡 所在不明共有者への対応(2023年民法改正)
2023年の民法改正により、「所在不明共有者の持分を裁判所の決定で取得できる」制度が新設されました。所在が分からない共有者の持分を、裁判所の許可を得て他の共有者が時価相当額を供託することで取得できます(所在不明共有者の持分の取得)。共有者が行方不明で困っている場合は弁護士に相談してください。
07共有不動産の売却でよくある疑問Q&A
兄弟で相続した実家を、一人だけ反対しているので売れない状況です。どうすればいいですか?
選択肢として、①反対している兄弟を粘り強く説得する(不動産会社・弁護士を仲介役にすると話が進みやすいことがある)②自分の持分を反対している兄弟に買い取ってもらう③自分の持分を第三者(買取業者)に売却する④共有物分割請求訴訟(調停・訴訟)で強制的に解決する、があります。まずは専門家を交えた話し合いを試みることをおすすめします。
離婚した元配偶者と不動産を共有したままです。相手と連絡を取りたくないのですが。
弁護士または不動産会社を窓口にして、元配偶者と直接連絡を取らずに交渉を進めることができます。解決策として、①元配偶者に持分を買い取ってもらう②自分が元配偶者の持分を買い取る③共同で売却して代金を分ける④自分の持分を買取業者に売却する(元配偶者の同意不要)があります。離婚による共有不動産の問題は早めに解消することをおすすめします。
共有持分を第三者に売却した場合、他の共有者にどんな影響がありますか?
共有持分を取得した第三者(業者)が共有者に加わります。その業者が他の共有者に「持分を買い取れ」と要求したり、共有物分割請求を行ったりするケースがあります。結果として他の共有者が不本意な条件での解決を迫られることがあります。持分売却は合法ですが、他の共有者への影響を踏まえた上で判断することが重要です。
共有不動産の固定資産税は誰が払うのですか?
固定資産税は共有者の一人(代表者)に課税通知が届きますが、共有者全員が連帯して納付する義務を負います。実際には代表者が全額を納付し、後で他の共有者に持分割合に応じた分を請求するのが一般的です。共有者間で固定資産税の負担を巡ってトラブルになるケースもあります。
共有不動産を全員合意で売却する場合、一人でも東京に来られない共有者がいたらどうすればいいですか?
遠方の共有者は司法書士への「委任状」を作成することで、本人が来なくても売買契約・決済の手続きを進めることができます。また公証役場での書類作成・郵送対応・オンライン本人確認を利用することで、遠方の共有者がいる場合でもスムーズに売却手続きが進められます。不動産会社に相談すれば対応方法を一緒に考えてくれます。
08まとめ
共有名義の不動産——解決のための3つの原則
- 共有不動産の売却には原則全員の同意が必要——ただし「持分のみ売却」「共有物分割請求」など同意なしで解決できる手段もある
- 共有状態は放置するほど複雑化する——共有者が亡くなるたびに持分が分散し、解決が難しくなる。早めの話し合いが重要
- 話し合いで解決できない場合は弁護士・不動産会社を活用する——専門家を仲介役にすることで交渉が前進することがある
「兄弟で共有している不動産を売りたいが反対されている」「離婚後も元配偶者と不動産を共有したままで困っている」「自分の持分だけを売ることを検討している」——共有名義の不動産に関するご相談も承っています。秘密厳守・相談無料で社長が直接お答えします。必要に応じて弁護士・司法書士のご紹介も可能です。
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