競売物件とは何か
📝 不動産知識 / 競売物件ガイド
競売物件とは何か——仕組み・リスク・購入方法を分かりやすく解説【2026年版】
売主側・買主側どちらにも役立つ知識
この記事の目次
- 競売とは何か——基本的な仕組み
- 競売になるまでの流れ(所有者・売主側)
- 競売物件のメリット・デメリット(買主側)
- 競売物件の購入手順
- 競売 vs 任意売却——所有者にとってどちらが有利か
- 任意売却とは——競売を避けるための選択肢
- 競売・任意売却に関するよくある疑問Q&A
- まとめ・無料相談のご案内
01競売とは何か——基本的な仕組み
競売(けいばい・きょうばい)とは、住宅ローンなどの借金が返済できなくなった場合に、裁判所の手続きを経て不動産を強制的に売却する制度です。売却代金は債権者(金融機関など)への返済に充てられます。
競売が行われる背景
不動産を購入する際に住宅ローンを借りると、その不動産には「抵当権」が設定されます。抵当権とは「ローンが返済できなくなった場合、金融機関がその不動産を売却してローン残高を回収できる権利」です。ローンの返済が滞り、金融機関との交渉が不調に終わった場合、金融機関が裁判所に申し立てを行い競売が開始されます。
💡 競売の主な用語
- 債務者:ローンを借りた人(不動産の所有者)
- 債権者:ローンを貸した側(金融機関・保証会社など)
- 競売申立て:債権者が裁判所に競売の開始を申請すること
- 基準価額(売却基準価額):裁判所が定めた競売の基準となる価格。市場価格の70〜80%程度が目安
- 買受申出保証額:入札時に必要な保証金。売却基準価額の20%
- 最高価買受申出人:最も高い金額で入札した人(落札者)
- 引渡命令:落札後に裁判所が発する、占有者(元の所有者など)に物件を明け渡すよう命じる命令
競売物件の価格水準
競売物件の売却基準価額は一般的に市場価格(相場)の60〜80%程度に設定されることが多いです。さらに実際の落札価格はこの基準価額を上回ることも下回ることもあります。「競売物件は安く買える」というイメージがありますが、東京都心部では人気物件の場合に市場価格を超える価格で落札されるケースも少なくありません。
02競売になるまでの流れ(所有者・売主側)
住宅ローンの返済が困難になってから実際に競売で売却されるまでには、いくつかのステップと一定の時間があります。
ローン返済の滞納(1〜3ヶ月)
住宅ローンの返済を滞納すると、金融機関から督促の連絡が来ます。この段階では金融機関との交渉(返済条件の変更・猶予)の余地があります。
期限の利益の喪失(滞納3〜6ヶ月頃)
返済が続けて滞ると「期限の利益の喪失」が起こり、ローン残債の全額を一括で請求されます。この段階で金融機関から正式な通知が来ます。
保証会社による代位弁済
住宅ローンには保証会社が付いていることが多く、保証会社が金融機関に代わって返済します(代位弁済)。以降は保証会社が債権者となります。
競売申立て(代位弁済後数ヶ月〜1年程度)
交渉が不調に終わると保証会社が裁判所に競売の申立てを行います。申立てが受理されると「競売開始決定」の通知が所有者に届きます。
現況調査・評価(競売申立て後数ヶ月)
裁判所が委託した執行官による現況調査と不動産鑑定士による評価が行われます。この結果をもとに売却基準価額が決定されます。
入札・開札・落札
「期間入札」として一般に公告され、入札期間(通常1週間程度)に入札が行われます。最高価格を入札した人が落札者となります。
代金納付・所有権移転・明け渡し
落札者が代金を納付すると所有権が移転します。元の所有者は物件を明け渡す必要があります(引渡命令の申立てが可能)。
⚠️ 競売開始決定から実際の売却まで約1〜2年かかることも
ローン滞納から競売での売却完了まで、全体で1〜3年程度かかるケースが多いです。この間に任意売却を検討・実行する時間的余裕があります。競売開始決定後でも、売却(落札)が完了するまでの間は任意売却に切り替えることができます。
03競売物件のメリット・デメリット(買主側)
競売物件の購入を検討している方向けに、メリットとデメリットを整理します。
競売物件購入のメリット
- 市場価格より安く購入できる可能性がある:売却基準価額は市場価格の60〜80%程度が目安。条件によっては安く落札できる
- 一般に出回らない物件が手に入ることがある:通常の不動産市場に出ない物件が競売に出るため、希少な物件に出会える可能性がある
- 手続きが法律に基づき透明:裁判所の手続きのため、物件情報(3点セット)が公開されており透明性が高い
競売物件購入のデメリット・リスク
- 内覧ができない:競売物件は原則として内覧不可。建物の内部状況・劣化状況を事前に確認できない
- 現況渡し(瑕疵担保なし):売主(国・裁判所)は物件の瑕疵について責任を負わない。雨漏り・シロアリ・設備故障などが後から判明しても保証なし
- 占有者(元の所有者や賃借人)がいる場合がある:落札後に占有者が退去しない場合、引渡命令・強制執行の手続きが必要になる。時間とコストがかかる
- 住宅ローンを組みにくい:競売物件は住宅ローンを利用できる金融機関が限られる。現金または競売対応ローンが必要になることが多い
- 滞納税金・管理費の引継ぎ:固定資産税の滞納・マンションの管理費・修繕積立金の滞納分を落札者が負担しなければならないケースがある
- 専門知識が必要:3点セット(物件明細書・現況調査報告書・評価書)の読み方・入札手続きなど専門知識が必要
⚠️ 「安い」だけで飛びつくのは危険
競売物件は内覧できない・瑕疵担保なし・占有者問題など、一般の不動産売買にはないリスクがあります。物件の状態を確認できないまま高額な入札をすることは大きなリスクです。競売物件の購入は不動産の専門知識がある方・専門家のサポートを受けられる方に向いています。
04競売物件の購入手順
競売物件を購入する際の基本的な手順を整理します。
物件情報の確認(3点セット)
裁判所・BIT(不動産競売物件情報サイト)で競売物件の情報(3点セット)を確認します。物件明細書・現況調査報告書・評価書の3つの書類に物件の状況・占有状況・評価額が記載されています。
現地確認(外観のみ)
競売物件は内覧できませんが、外観の確認・周辺環境の確認は可能です。近隣の聞き込みや現況調査報告書の写真を参考に物件の状態を推測します。
入札価格の検討・資金の準備
市場価格・売却基準価額・物件の状態を踏まえて入札価格を決定します。入札時には売却基準価額の20%を保証金として納付する必要があります。
入札書類の提出
入札期間中に裁判所に入札書・保証金を提出します。入札は1回のみで、後から変更することはできません。
開札・落札確定
開札期日に裁判所で開封・確認が行われ、最高価格の入札者が落札者(最高価買受申出人)として確定します。
代金納付・所有権取得
落札確定後、指定期限内(通常1ヶ月程度)に残代金を納付します。納付完了と同時に所有権が移転します。
💡 BIT(不動産競売物件情報サイト)
全国の裁判所で公告されている競売物件の情報は「BIT(https://www.bit.courts.go.jp)」で一般公開されています。3点セットのダウンロード・入札期間の確認などができます。
05競売 vs 任意売却——所有者にとってどちらが有利か
住宅ローンの返済が困難になった所有者にとって、競売と任意売却では結果が大きく異なります。
| 比較項目 | 競売 | 任意売却 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格の60〜80%程度 | 市場価格に近い価格で売却可能 |
| 残債の処理 | 売却後も残債が残ることが多い | 残債について金融機関と交渉できる |
| 引越し費用 | 認められないことが多い | 交渉次第で売却代金から捻出できる |
| プライバシー | 競売情報が公開される(近所に知られる) | 通常の売却と同様に非公開で進められる |
| 引越しのタイミング | 落札後に強制的に退去を求められる | 売却前に余裕を持って引越しできる |
| 精神的負担 | 強制的な手続きで精神的負担が大きい | 自分の意思で進められる |
| 信用情報への影響 | 信用情報に記録(約5〜10年) | 信用情報に記録(約5〜10年) |
✅ ほぼすべての面で任意売却の方が有利
住宅ローンが払えなくなった場合、可能な限り早期に任意売却を検討することが所有者にとって有利です。売却価格が高くなること・引越し費用の交渉ができること・プライバシーが守られることなど、競売より任意売却の方がほぼすべての面でメリットがあります。
06任意売却とは——競売を避けるための選択肢
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった所有者が、金融機関(債権者)の同意を得て通常の不動産市場で物件を売却する方法です。
任意売却の特徴
- 金融機関の同意が必要:抵当権を外してもらうために金融機関の同意が必要。交渉が必要だが、競売より回収額が多いため金融機関も応じるケースが多い
- 市場価格に近い価格で売却できる:通常の不動産仲介と同様に市場での売却となるため、競売より高値での売却が期待できる
- 残債の分割返済交渉ができる:売却後も残債が残る場合でも、金融機関と分割返済の交渉ができることが多い
- 引越し費用を捻出できる場合がある:売却代金の一部を引越し費用として認めてもらえるケースがある
- 競売開始後でも対応できる:競売開始決定後でも、実際に売却(落札)されるまでの間は任意売却に切り替えることができる
任意売却ができなくなるタイミング
競売で落札者が代金を納付した時点で所有権が移転し、任意売却は不可能になります。競売開始後でも入札・開札前であれば任意売却に切り替えることができます。気づいた時点でできるだけ早く不動産会社・弁護士に相談することが重要です。
📌 任意売却は専門家への相談が必須
任意売却は金融機関との交渉・不動産売却・税務など複数の専門知識が必要です。任意売却の実績がある不動産会社・弁護士・司法書士に早めに相談することが解決への最短ルートです。「まだ相談するほどではない」と思っているうちに時間が経過することが最大のリスクです。
07競売・任意売却に関するよくある疑問Q&A
競売で売却されると、住んでいる家からすぐ出なければいけませんか?
落札者が代金を納付して所有権が移転した後、落札者から退去を求められます。落札者が「引渡命令」を申立てると、裁判所から退去命令が出ます。命令に従わない場合は強制執行(強制退去)となります。競売後も元の所有者が住み続けることはできません。
競売で売却されても借金は残りますか?
競売の売却代金でローン残債を全額返済できれば残債はなくなります。しかし競売の売却価格は市場価格より低いため、売却後もローン残債が残るケースが多いです。残債は引き続き返済が必要です。残債の処理が難しい場合は自己破産・個人再生などの債務整理を検討することになります。
競売物件を住宅ローンで購入することはできますか?
難しいですが不可能ではありません。一般の住宅ローンは競売物件には対応していないことが多いです。一部の銀行や競売対応の金融機関では融資を受けられることがありますが、事前に金融機関への確認が必要です。現金で購入できる方や投資家が競売物件の主な購入者となっています。
任意売却は誰でもできますか?
住宅ローンの返済が困難になっている方で、金融機関が任意売却に同意する場合に利用できます。全ての金融機関・全ての状況で任意売却が認められるわけではありませんが、競売より回収額が多い任意売却に金融機関が応じるケースが多いです。任意売却の実績がある不動産会社に相談することで判断できます。
競売物件に入居者(賃借人)がいる場合はどうなりますか?
抵当権設定後に入居した賃借人は、競売で所有権が移転した後も一定期間(最大6ヶ月間)の明け渡し猶予が認められます(引渡猶予制度)。抵当権設定前から入居している賃借人はより強い権利を持つため、退去交渉が必要になる場合があります。競売物件を購入する際は占有状況の確認が特に重要です。
08まとめ
競売物件について押さえる3つのポイント
- 競売物件は内覧不可・瑕疵担保なし・占有者問題など一般売買にはないリスクがある——「安い」だけで判断せず専門知識を持って慎重に検討する
- 住宅ローンが払えなくなった場合、競売より任意売却の方がほぼすべての面で有利——早めに不動産会社・専門家に相談することが重要
- 競売開始後でも落札・代金納付までの間は任意売却に切り替えられる——「手遅れ」と思わずまずは相談する
「住宅ローンの返済が苦しくなってきた」「競売を避けて任意売却したい」「競売物件の購入を検討している」——競売・任意売却に関するご相談も承っています。秘密厳守・相談無料で社長が直接お答えします。一人で悩まずまずはご連絡ください。
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